未曾有の大震災によって、東北の大地や海原は、未来永劫、生きている意味を人々に問いかける貴重な地域となった。日本人は、震災地東日本の風土に触れることによって「生きている意味」を学ぶことができる。生きている意味に気付き、生きていることへの感謝の念を抱くこともできる。今後、亡くなられた多数の人命を鎮魂するという営み(Activity)を通して、命あるものが「生きていること」「命あること」に気付き、感謝する風土を東日本、東北の地に創生したい。
生きている意味を見失い、苦しみ悩む人々が、この東北地方の風土に触れ、各地を歩き、様々なActivity(作業)をすることを通して、自らの命を再生させることができるのではないかと考える。震災前から、東日本は素晴らしい観光地であった。そこに、多くの人命(魂)が眠っている。東日本各地を訪ねて、自らの生きている意味を問い、各地で様々なACTIVITY(作業をする)旅を、新しい「巡礼」ととらえたい。
私たちは、この東日本の震災地の風景に触れるにつけ、「命」「生きていること」を思い偲ぶ。命ある自分、生きている自分を感謝する気持ちを味わう。東北の地は、まさにこうした生きていることを知り味わう場所である。東北地方のそこかしこを訪ねながら、生きていることを感じ感謝する営みは貴重である。四国各地をお遍路さんが巡礼するように、東北各地を巡礼し、奪われた命の鎮魂を願う作業(Activity)をすることによって自分自身の生きていくエネルギーを再生産したい。
1)サポートセンター機能
① 通所機能(宅配機能を明確にする)
仮設住宅等から、日帰りで出かけてきて、施設で作業し「土産」を持ち帰る
a.生活の仕方を学習して持ち帰る
更衣・入浴・排泄・食事・移動・爪切り・整容、美容
b.家庭で使うものを作って持ち帰る
陶芸 木工 ガラス細工 機織り 組みひも 料理 パン
c.新しい生活技能を持ち帰る
パソコン操作・調理方法(レシピ)・設計(CAD)操作・網づくり
d.家に持ち帰るサービス
クリーニング(洗濯物を持ってきて、クリーニングして持ち帰る)
園芸苗づくり(家に苗を持ち帰り育てる)
e.自信を持ち帰る
「こんなことまでできるようになった」という自分をお持ち帰り
② 宅配ビリテーション
a.生活コツ者の養成
* 健康高齢者・一般成人を、生活技能支援者として仕立てる
* 障がい者、障がい高齢者を通所施設で生活コツ者に仕立てる
b.生活コツ者による仮設住宅(在宅)訪問支援
* 仮設住宅(在宅者)において、支援が必要な方の訪問支援
* 訪問先で作って食べる支援
* 仮設住宅での入浴困難者に対する支援
③ ナイトデイ機能(PM6時から夜10時まで)
a. 作って夜食を食べる
b. 軽く飲んで、「青春のたまり場」で歌声喫茶
c. 一風呂浴びて休んで帰る
④ 就労支援事業
a.養鶏(自然卵づくり)
b.定置網づくり(漁業者との連携)
⑤ エルダー旅籠(年老いたなと思った方の宿泊所)
a.全国から、短期宿泊して、活動支援者を養成する人物招聘事業
b.第1期「巡礼札所づくり」を行う人材の有料宿泊機能
c.「つらい人・苦しい人は、泣きにおいで活動」希望者の宿泊所(1番札所)
⑥ アクティビチィーセンターの運営
巡礼札所Activity(様々なプログラムを実施。将来的には札所として独立)
土着する鎮魂アクティヴィティーを発掘する
(1) 短歌・俳句・川柳
(2) 三味線づくり
(3) 小仏陶芸 十二支陶芸 土鈴陶芸 抹茶茶わん陶芸
(4) こけし木工 菓子皿木工 お椀木工 お盆木工
(5) ガラス細工 サンドブラスト細工
(6) 和紙ちぎり絵(風景画、我が故郷画)
(7) 紙すき・絵手紙
(8) 墨絵・書道・写経
(9) 竹炭、炭づくり
(10) 地蔵づくり
(11) 札所メニュー化する「東北地方ゆかりの技能」を発掘
⑦ ユーメ(施設間通貨)発行の検討
a. 各、サポートセンターでサービスを受給する際にはユーメを支払うものとする
b. ユーメの制度化の検討
<アクティビティ選択指針>
好きなことをする
子どもの頃やったことをする
子どもの頃やってみたちと思ったけどできなかったことをする
手づくりで、自分で使うもの、自分で飾るものを作る
自分が作ったものをほかの人に贈るものを作る
ものづくりをすることで自分の心を安らかにしたい
自分の作ったものに思いを込めて、亡くなった命の鎮魂したい
亡くなった方々の鎮魂のために、作りたい
災害で失われた家屋の材木を活用して木工製品を作り鎮魂したい
<事業計画の段階的展開>
1.サポートセンターを仮設住宅に配備する
その際、規模の大小にとらわれず、ユニット作業室の連合体
2.アンテナショップ的に活動所を配置する
3.特定市町村から、開始し配備した施設をモデル札所として、東日本に徐々に分散
4.広範な地域であるが、巡礼する順路を意識した配置とする
5.最終的には、四国巡礼にちなんで「88か所」の公認札所を東日本に定着させる
6.巡礼する方々には、震災で亡くなったり、行方不明になられた方々の鎮魂を目的とすることによって、自分自身が「生きている」ことを感謝し喜ぶ意識を啓蒙する
7.地域住民においては、全国各地から、いずれ訪れるであろう巡礼者を、慰労する心持を抱く教育、啓蒙を行う。