3年越しだと思う、山口デイの机の周辺の片づけを年末に行った。いつもは元旦にかかって、年賀状書きがあり、住所のハンコ押し、または、エクセルから住所シールをパソコンで印刷するなど、年賀状に関わって、年末年始、多くの時間が割かれていた。今年は、早めに人(事務の金子さん)の力を借りたらあっという間に住所シールができた。5,6時間は消化しないで済んだ。大助かり。去年は、その印刷に手間取ったし、できたものも枠からはみ出し修正に帰って時間がかかり弱った。でも、賀状は、12月30日、31日、元旦の私の重大仕事の一つである。
年賀状は、私は、自分の人生に関わってきた瞬間をたどる作業だと思っている。関わりの深い・浅いに関係ない。長い期間、わが人生67年間に関わってきた人物のことを感じる瞬間である。年賀状だけのお付き合いをさせていただいている方も多い。私が出さないと、おそらく先方さんからは来ないであろうという方であっても私は出し続けたいと思う。それは、わが人生の刹那、ある瞬間で、ほんのわずかなかかわりであっても、今も忘れられないことがあったり、懐かしかったりするから、その方の名前を書く。(実際はシールを張る)。本当に一瞬であるが、出会ったその人物とのことを感じる瞬間が心地いい。自分が生きていたこと、確実に、そこで、その方と、詳細はおぼろげだけど、なんだか忘れたけど、生きざまを見せあったことを辿れることが、生きている証のように思えて心地いい。うれしいような気になるのだ。だから、年賀状は自分のために書いて出しているのかもしれないと、この年になって思えるようになった。今年は、大槌の子ども達のクリスマスの写真を賀状に使わせてもらった。本当に、あの子たちは私に真っ向から向き合ってくれる。見捨ててくれたり、近寄ってきたり。あれだけ無視していた子たちが、私を正面から見つめてくれるようになった。声もかけてくれるようになった。私が写真を撮ろうとすると一緒に写ろうとして、傍に走り寄ってくるのだ。以前は、私が彼らの写真を撮ることも拒否されていた。隔世の感だ。今、電話の待ち受け画面には5人の子ども達が笑って写っているものを貼り付けている。お守りだ。見ればいつも私に囁いてくる。「クッソー(わがニックネーム:くそじじいから来ている)、元気?」「いつ今度帰ってくる?」と。出稼ぎに出ているクッソーは、明日2日、福岡から台北に行く。また激しい現代版山頭火が始まる。前しか向いていないつもりはないが、前に進まなくてはならない現状がある。いや、目に進もうとする中で窮地を脱しようとする私の判断が先行するというか、仕事の現実に追われているというのが正しい。後ろを振り返り、後戻りしたり、立ち止まって手を差し出すことができない自分がいる。夢のみずうみ村は、53歳からはじめ、68歳になる今年まで、ただ、ひたすらそうしたいから、そうすべきだと思ったから、そうしてきた。それは、最早まずい手法であると指摘を受けた。随分と事業を広げた分、多くの職員の方々に責任を負う立場、存在になったことに幹会えばそういうことはできないはずだという論理であろう。決して無鉄砲に進めてきたつもりはなく、計算なく進めたつもりもないが、大きな初期投資をして事業展開する藤原方式は絶対に慎むべきだと決めている。職員ひとり一人に声掛けすることもできず、中間管理職の方々に託し、前だけ進む私に、厳しく意見をいただいた。もう一度元旦に当たり、自分を見つめなおしている。
今日、正月元旦、既に走っている自分がいる。それの良し悪しは判断せず走りだした。周囲から、どうするか早々に返事をくれという回答を作る作業だ。もう走っている。元旦、ひたすらノートとパソコンに向かい、自分の頭に問いかけ、今日は元旦だから、歩きながら考え、直感的に修正すること少なく、その分、考え疲れ、休んでまた考える、メモる、パソコンを打つ。走る人生は、終わりにしなくてはいけないのかもしれない。手を下せるのは私自身だ。そう元旦に思う。走るか歩くか立ち止まるか。
私のパワーは、常に大槌の孫達から補給エネルギーを注いでもらわないといけない。弱ってきた。だから待ち受け画面は消えてはならない。消してはならない、替えてもならない。そう思う、元旦の夕刻から夜にかけこれを記す。
藤原茂プロフィール
1948年山口県萩市生まれ 作業療法士 NPO法人夢の湖舎理事、株式会社夢のみずうみ社相談役、琉球リハビリテーション学院長、日本作業療法士連盟相談役
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