第10回夢のみずうみ楽会 IN 奈良

1月29日 奈良県天理市の「陽気ホール」で開催。盛況だった。登場された順に紹介。1番手は「チーム Yasu の取り組み~四肢麻痺を乗り越えて」。講師 名倉 康友さんとは二回目の出会いであった。「歌手のつんくさんのように話ができませんが『伝の心』というパソコンを使って文章を書き、奥さんがそばでマイクで読まれ、発表されるというスタイルが、今日も見られた。明石大橋走破のビデオが圧巻である。2回目の拝聴であったが、やはりすごい。チームYasuのメンバーが 車いすを抱え、大橋のてっぺんから瀬戸内海を望む場面。橋の上の通路は、車いす目線では見えない高さなので、みんなで「せーのー」で車いすを抱え上げ、メンバーの男性の「キープ!」の一声があがる。名倉さんに、明石大橋のてっぺんからの景色を、他の人間同様にみて頂こうとする必死のチームの面々が、車いすを持ち上げ保持しているのだ。ただただ感動である。 夢のみずうみ楽会は「障がいを持ち、いったんはあきらめ沈んでおられる方々が、どっこい、『障がいを持ったからこそ、こんな素敵な人生が待っていた』と実体験を語られる会である。
 2番手は 奥田優子さんと出口孝行さん。優子さんは、以前、山口の夢のみずうみ村にOTと見学に来られた。その日、夢のみずうみ村では、葉山靖明さん(片麻痺当事者であり、デイサービスけやき通り他を経営しておられる社長、我が友人)の仲間で、「片麻痺の会」を開催していた。葉山さん他の当事者の方々に、同じ片麻痺である優子さんは出会ってしまったのだ。それがターニングポイントである。初対面時、暗いなあ、おとなしいなあという印象であった。若くして脳卒中になられたのだ。想像しにくいという感じだが、我が夢のみずうみ村には石田陽子さんというスタッフがいる。高校2年生で発症し、私のリハビリ病院時代の患者さんであった。ご縁があって、夢のみずうみ村でマッサージ師の資格を取り働いていただいている。その彼女は陽気なのだ。だから初対面は暗いと感じていた。どっこい、今日の彼女は全く違っていた。「私の話は涙しますからバスタオルをご用意してください」と最初からジョークをかますのである。元気だ愉快だ明るい。何がそうさせたのか。「リスタートk~チャレンジ精神と新たな出会いが人生を変える」というテーマである。まさしく、夢のみずうみ村で、出会った体験が彼女の人生を変えた。活発に生きる視座をもたれ、チャレンジ。その場で衝撃なことが起こった。なんと、フィアンセが同席していたのだった。化粧をされたのにも驚いていたが、お嬢さんだからそれは当たり前程度に思っていたのに、どおりでおきれいになられたと思った。彼女の活発さは本来持っておられるものだと思うが、病気障がいは、それを阻んでいたと思う。それが、葉山さんや、夢のみずうみ村での出会いであったと確信できる。出口さんは右マヒで失語症であったのだが、まったくそれを感じさせない話しっぷりである。利き手交換、左手で書かれた言葉の学習のための所持訓練尾スライドは、ただただ驚いた。丁寧な文字。子ども2人を抱えての発症に、人生どう生きるかを苦悩された話に、同じ、右マヒ、父親である葉山さんとの障がいをどう受け止めこなすかの話。
 3番手は伊藤恵理子さん。私も2度目、いや3度めの出会いである。タレントの平野レミさんみたいに元気な方と、奥田優子さんが紹介するような御仁。「この出会いに感謝!主婦の知恵袋!片麻痺で台所仕事~社会貢献へ」というテーマだ。片麻痺の料理の方法エトセトラの話が具体的内容であったが、とにかく、障がいをもって真っ暗であった中で出会った、作業療法士、そして、葉山さんたち当事者仲間。そうした出会いが、人生を変えたと、会場から異口同音に同じような話が出始めるきっかけの話題提供であった感がする。片麻痺料理の小道具を、同席していた中島萌OTが会場に高々と掲げて紹介。どこにもある品々をうまく活用する方法なのだ。知らなかったらできない皮むきも知っただけでできるようになる。当時者パワーのすごさである。
 昼休み休憩をはさんで、ALSの森本和彦氏が登場。「障害受容を考える~人は障害を受容できるのか」というテーマ。気管切開され、車いすに寝たまま。伝の心を発表用にセットされ、奥様と仲間の方々(4人くらい)と昼休み中にセッティングされての開始。あらかじめ、パソコンで1文字ずつを「行と列」で選択して文章を作る作業をしてこられていたので、機械音で見事に朗読がスムースになされた彼の発表であった。理学療法士でご活躍であったことを司会者が伝える。よって、「障害受容」には学生時代より考えてこられたことや、学者や書籍での内容を紹介されながら、明確に、回想的な障がい受容などはありえないこと。(双方向であること)。障がい受容ということがあり得るのかと提起。全身寝たきりの森本さんの器械の声が会場に響く。重いテーマであるが司会役の葉山さんが話したことを受けて、会場で、森本さんが伝の心を打つ。そばで液晶画面を見る。「皆さんが受け止めてくれたことがうれしい」と。私がそこですぐ浮かんだのは、「これがいい」「このままでいい」と感じる心境であった。それを、森本さんの話を聴いて感じた。奥さんが作業療法士(OT)だと伺い、また感動。いい出会いをさせていただいた。夢のみずうみ学会では、舩後康彦氏以来、2度目のALSの方の登場であった。
 5人目は山口宗彦氏。学校の生成だ他tころにバンドをつくられていて、そのメンバー共々の登場であった。「夢と出会いとやさしさと~音楽活動とともに」という発表。「視床痛」という脳卒中患者さんでも特異な痛みを持たれ、耐えられない痛みと、ギターを作業療法に取り入れ、ハーモニカで言語療法にも挑戦した話。実際に、メンバー6人による演奏。手話を交えての会場といった地となったコンサート。山口さんおハーモニカが響いた。みんなで手話しながら歌った「花は咲く」。とにかく素敵な発表であった。
 最後に15分間で、発表者全員前に集合。私がマイクをにぎり、「第10回夢のみずうみ楽会」のおさらいをした。
 ①ヒトは誰もが自分の体の内側に「自分ダム」をもっている
 ②あたり一面に潜んでいる「感激の素(」味の素ではないですよとジョーク一発)を見つけ、感動感激すれば意思の水が湧く
 ③意思の湧水からどんどん水がたまり、自分ダムに一杯の水がたまるとそこが自分湖、夢のみずうみ、ですよ
 ④夢のみずうみに一杯水が、今日の会でたまったでしょ
 ⑤じゃあ、自分ダムの放水です。
 ⑥放水すれば水力発電です。あなたが自分で自分電力を生み出すのですよ。本日は、相当の自分電力を皆さんが発電されると思いますよ
 ⑦在宅で、障がいを持たれた方や病気で悩んでおられる方々が苦悩し、自分の内側のみに語り掛け、ますます孤立化し苦しまれれている方々に呼びかけましょう
 ⑧今日の皆さんの発表、姿、話の中味は、体験者ならではのすさまじい生きる力を与えてくださいました。当事者の方だからこそ生み出されるパワーです
 ⑨皆さん全てがおっしゃってます。出会いに感謝。障がいを持ったから生まれた出会い。
 ⑩葉山さんが言いました。障がい者の方は「障害を体験した方です」。私はそれを聴いて思いました。世の中に健常者はいない。居るのは「非当事者」だ。
 素敵な 夢のみずうみ学会 奈良大会 ありがとうございました。 
 何か行動を起こさなければと全身が揺さぶられて 新幹線で東京に帰りながら、これを一気にまとめています

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