従来の通所サービスと夢のみずうみ村の発想比較(1)
従来のデイサービスの特徴を挙げてみました。
サービスをご利用される方が手の届かないところを援助させて頂く施設であることはいずれの施設も変わりはないのですが、お世話をさせて頂く施設という職員の意識は、手の届くところ(それはご自分でできる能力がある部分)まで手をさしのべてしまい、できる能力を徐々に奪っていってしまうという恐ろしい行為であるという実感が双方にないのです。
お世話をして頂ける施設では、何もしないでも一日衣食住が保障されるという生活は一見良さそうに思えますが、実は真綿で首を絞めるように徐々にできる能力を奪っているという恐ろしいことだと夢のみずうみ村では考えています。ですから、利用者ができることはご自分で行って頂くという大原則を掲げているわけです。
図にある、お世話をさせて頂く施設ということをわかりやすく表現すると、上げ膳据え膳方式ということになります。
上げ膳バイキング方式・セルフサービスとどちらがいいでしょうか。
上げ膳据え膳がいいに決まっています。本当にそうでしょうか?
リハビリテーションの視点から申せば、できる能力を維持鍛えるということになります。ならば、バイキング方式、セルフサービス方式で、できない部分のみをお手伝いさせて頂くというのが望ましいと考えております。
集団一斉方式は、決してまずい方法ではありません。
特に痴呆傾向をお持ちの方や意識レベルが低い方にはかえって、マンネリ化したいつものやり方で導入されて集団プログラムで活動性を高めていくというやり方があります。重要なのは、そうした個々の利用者の方の能力レベルをきちんと判断し、その上で個別的な集団メニューを実施できるかということです。
十把一絡げ(じゅっぱひとからげ)のメニューを行うところに問題があるのです。夢のみずうみ村には、そうしたプログラム運営の機微に敏感な方々がお見えになります。ですから、どうしてもプログラムは個人個人で選択して一日の過ごし方を決めて頂かなくてはいけないわけです。
個々での典型メニュー例についてご存じない方のために紹介しておきましょう。
「北国の春」(遠藤実作曲 歌 千昌夫)の演歌にあわせ手足を伸ばしたりする全身体操です。日本コロンビアからテープが出た時は、我先に買い求め、「山口県痴呆処遇研究会」で紹介、指導したものでした。
ご存じ風船バレーもスポーツ競技としてとして楽しむレベルから、施設内でレクレーションとして楽しむレベルまで幅広くあります。全日本ふうせんバレーボール大会決勝を北九州で見たとき唖然といたしました。あるサリドマイドの青年が繰り出されるサーブやスパイクを、相手チームの指導員でスポーツ万能とおぼしき青年二人が開店レシーブをして必死に取ろうとしても拾えないのです。そういう風船バレーもあるのです。あの同じ風船です。いかに活用するかが課題です。
デイサービスメニューで全国共通メニューとして掲示した意味は、どこに行っても画一的というのは、どこかおかしいぞという警鐘の意味があるのです。夢のみずうみ村にお越しの利用者の方々はこうした画一したメニューを避けたいという明確な意思をお持ちの方々だと思います。
その8につづく