天国に手紙届けたよ

4年目を迎えた3月11日。

子ども夢ハウスでは東日本大震災で犠牲になられた方に追悼と鎮魂の祈りを込めて、大槌の夜空にバルーンを飛ばしました。

昨年に引き続き、今年も地域の皆様から「今年もやってほしい」との願いから実施できることになりました。しかし、資金的に困難な状況であり、「Ready for」というサイトで、「3月11日光る風船にメッセージを託し、大槌の夜空に飛ばそう」という会で皆様からの募金により、金額を達成し、実現できることになりました。本当にありがたいことです。

当日は風が強く、凍えそうな寒さ。バルーンを夜19時に飛ばすために朝からたくさんのボランティアの方が来て下さり、吹き飛ばされそうな寒さの中、準備してきました。山梨県や京都府からお坊様もボランティアとして来てくださいました。吹きすさむ寒風でお坊様の法衣の袈裟が風にさらわれる寒さの中、お経が唱えられました。

その寒さは4年前のその日を思いおこす寒さでした。読経が響き渡る中、この地域を襲ってきた津波の恐ろしさ、繰り返す地震。家族が心配でたまらないその時にも、多くの人が冷たい海にのまれ、寒さに震えながら、身を寄せ合い、壮絶な体験をしながら、不安な日々を過ごしたあの日を彷彿とさせる時間でした。

18時頃、町内の皆様が集まってくださいました。子どもたちは亡くなった方への想いをメッセージに込めました。

「もうすぐ3年生です。天国からいつまでも見守っていてください。」中学生の子は「おじいちゃんへ 美容師になるって決めたよ。頑張るから見ててね。」また受験に合格したことを、メッセージで天国に届けた子もいました。

あれから4年。子ども達も成長し、またこれからの成長を天国から見守ってほしいとみんながそれぞれ想いを込めました。メッセージを書いたカードを風船に結び付けて夜空に一斉に飛ばしました。

この寒さの中、来てくださる方々と一緒に追悼できることに感謝しました。バルーンが大槌の夜空に昇っていく瞬間は、時がとまったようでした。昨年のバルーンは天国にその思いが昇天するように、まっすぐにすいよせられるようにメッセージを届けました。今年のバルーンは、さまざまな魂が自分の想いを誇張するかのように、どんどん広がって、まるで蛍のように、夜空にその存在を示すように儚げにうかびながら消えていきました。メッセージを込めたそれぞれの人の想いが、その場にいた人と共感できた一瞬でした。その瞬間は忘れられません。

想いを叶えてくださった皆様に感謝申し上げます。一人では、私どもだけではできなかったことが皆様の応援で実現でき、被災された方のお心を励ますひと時になれたことにありがたい気持ちでいっぱいです。子ども夢ハウスを活動する原点にも振り返る貴重な体験をできたことに、深く感謝します。亡くなられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げます。

2015.3.11  風船